【ラクスル株式会社】導入事例

2018年に東京証券取引所マザーズに上場したラクスル株式会社。「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げ、インターネットを既存産業に取り入れ、世の中をもっと便利に、そして生産性向上を目指しています。
機関投資家とビジョンを正確に共有するために、要となるIR担当者の課題や、機関投資家との対話の質向上までの経緯を伺いました。

これまでの業務上の課題を教えて下さい。

明確に課題を持っていたわけではなかったのですが、投資家との面談事前準備を有効的、かつ効率的に実施していきたいと考えていました。特に面談の質を上げるために、より詳細なデータの収集が可能にならないかと模索していました。具体的に言うと、機関投資家の自社株保有状況や興味を持っている業種等が客観的にその場でわかると、機関投資家と「よりよい対話」ができるのではないかと思っていました。
ただ、そういった情報を収集するには実質株主判明調査が必要であり、予算を通すだけでも一苦労になり、また有効に使いこなせないことを懸念していました。そこで、面談やヒアリングで自社株の保有状況を確認したり、アレンジした証券会社に情報を確認していました。しかし、証券会社に手間をかけてしまい、返信を待つ時間がかかってしまいます。

また一般的なプロフィール、AUM(Assets under management)や機関投資家の投資スタイルなど充足してはいるものの、この情報をそのまま読むだけでは効率的にチームで共有できず、貴重な機関投資家との対話機会を生かしきれないという悩みにぶつかりました。

「みんなの説明会※1」と出会ったきっかけを教えて下さい。

もともと、機関投資家との面談のアレンジがシステムで完結できる「みんなの説明会※1」のことは知っていましたが、みんせつさんから「投資家データベース※2」について連絡をいただいた時に予想以上に安価だったので、まずは情報収取も兼ねて問い合わせてみようと思ったのがきっかけです。

投資家情報は、自社で構築したデータベース(投資家との対話で確認した株式保有状況、投資スタイル、企業の探し方など)でアナログに情報を積み重ねていたのですが、そのデータと「投資家データベース」の費用対充実度の比較をしたいとも考えていました。結果として、「投資家データベース」は操作も簡単、情報量が圧倒的に豊富であることが一目瞭然でした。

※1みんなの説明会:無料で事業会社のIRが決算説明会の掲載、証券会社/機関投資家とのアレンジが、議事録が作成できるサービス
※2投資家データベース:投資家の保有情報やプロファイル情報を収集したデータベース。海外120ヶ国をカバーするFactset社とのアライアンスにより情報を提供

導入の決め手は何でしょうか?

自社で蓄積していたデータと比較した時に、導入しやすい価格にも関わらず圧倒的に情報量が多いことは先にお話ししましたが、証券会社や自社で収集する情報と比較しても、早くて手間がかからないのはもちろん、簡単に時系列での保有増減、他社の保有状況や保有増減を始め、詳細な部分まで多面的に確認できたことが決め手でした。
「投資家データベース」の情報があれば、仕組みが変わり、対話の質があがることを確信しました。自社だけではなく、上場している全ての企業の保有状況や変化を深堀りして見られることもメリットですね。

導入後の活用方法について教えて下さい。

具体的になりますが、面談の機会をいただいたら「投資家データベース」から投資家のプロフィール、日本株の保有状況(海外機関投資家からの取材依頼が来た場合)等を確認し、設定する際スケジューラーに概要ページのURLを貼り付けています。決算後など一度に多くの面談機会をいただくタイミングで、その場ですぐにプロフィールが分かり、また後日リンクから簡単に情報に飛べるので面談前の準備や振り返りに大変助かっています。

また、IR担当者以外が話す場合も、面談前スピーカーに「投資家データベース」の推移グラフなどのキャプチャを取材準備資料として渡しています。機関投資家の情報をビジュアルでインプットすることで、時間をかけずに多くの情報が伝わりますし、自社に期待している事も見当をつけられるようになります。「投資家データベース」を活用して事前準備が可能になったことで、機関投資家の求める情報に応えられる体制を整えることができ、双方にとって意味のある対話ができていることを実感しています。

導入から活用において、工夫されたことはありますか?

「投資家データベース」は情報がすぐに取得でき、ビジュアル的に優れているので、スピーカーに株価、平均取得単価、保有数のグラフといった情報のキャプチャを渡すだけでその場でインプットできることに価値があります。

直感的にわかりやすくて、世代や職種、経験問わず情報を得やすい、理解しやすいので、他部署と会話する際にも「みんなの説明会」のデータを参考に見せたりしています。新人教育にも使えるかもしれません。

どのような方が活用されていますか

IR担当者が中心に利用していますが、アウトプットした内容をマネジメントにも共有しています。「投資家データベース」を利用開始してからは、情報共有が容易になったため、今後はIR担当者だけに留まらず、必要に応じて他部署の社員にも情報共有していこうと検討しています。

私は元々秘書を経てIRチーム配属されたので、「投資家データベース」導入前は、専門的な情報の集約や選別に労力を費やしていました。「投資家データベース」には求めている情報集約されているので、IR業務を初めて担当する場合でも大変心強いシステムだと実感しています。

導入して課題解決されたことを教えてください。

現在(2021年4月)の年間面談件数は年間250件前後ですが、面談の質の向上を肌で感じています。「みんなの説明会」で機関投資家の情報を分析し、事前準備ができるようになったことがが大きく関係しています。情報を簡単にインプットできることでスピーカーとしてアサインする社員の幅も広がりましたし、以前と比較して社員が機関投資家との接点を持つ機会が増加しています。

また、従来の取材参加者は、日程調整可能で、かつ過去の面談履歴を参考にして調整していましたが、現在は他社保有状況、国内/海外の保有状況、セクター別保有状況、自社の保有有無など、判断基準の軸が変化したことで参加者の幅が広がり、5パターン以上の体制を準備できるようになりました。機関投資家の情報を効果的に集約できるようになった事で、メンバーのアサインに自信を持って推進することができています。

今後IRで実現していきたいことはありますか?

引き続き様々な機関投資家と対話をしていきたいです。また、今後はIR担当者だけではなく、事業部が機関投資家の目線を把握できる仕組みを構築していきたいと思っています。機関投資家の視点から、自社の状況や実情を捉えることで、外からの多様な視点に気づくことができ、個人の視野を広げ、さらなる事業の成長に繋がると考えています。

また、面談という切り口以外にも「投資家データベース」を活用して、自社と機関投資家の双方に、より価値を生むことができる方法を見当していきたいです。

最後にみんせつに期待していることを教えてください。

海外投資家の活用もより増えることを期待しています。また、セミナーが非常に魅力的なので、定期的に開催してほしいです。IR活動について学ぶ機会は少ないので、大変参考になっています。ESGに関するセミナーなども実施してもらえると嬉しいです。