2021年4月2日に、「株式市場で活躍するIR担当者になるための成功戦略」として学べるセミナーを開催いたしました。
第3回は、最近話題に取り上げられることが多いESG対応についてお伝えします。
ESG対応には、まず最初に正しい理解の社内浸透が重要
ESG対応についてですが、「ESGについての理解がふわっとしている方」が結構多いのではないかと思っています。まず最優先で実施することは、ESGの正しい理解を社内浸透させることです。ESG推進において私が参考にしている書籍は、エステー株式会社の福岡さんの著書『自社に合ったESG戦略の考え方・進め方』です。分かりやすくESGの要素がブレイクダウンされていますので、この考え方をベースに社内へのESG講義を実施しました。
社内講義内容ですが、まずESGだけではなく、CSRとSDGs の関係性から詳しく説明しました。「求められてるのは慈善事業ではない。本業で稼いでどこかに寄付することではないですよ」ということを前提に、SDGsとは「事業を通じて社会の役に立つこと。例えば事業で自然エネルギーを生産する事とか、教育を改善する事や、女性の社会進出を後押しするといった機会に関する戦略だ」とお伝えしています。
CSRは、例えば大気汚染を生み出さない、川を汚さない、人を奴隷として扱わないといった社会に迷惑をかけないこと。社会に迷惑をかけるとリスクになりますので「リスクに関する戦略」、これがCSRだと考えています。
そしてESGのESは、環境と社会ですが、それぞれに含まれているは「機会」と「リスク」です。環境についても、環境改善の役に立つか、環境に迷惑をかけるようなことをしないということですが、社会についても同様ということです。
ESGとCSR、そしてSDGsは切っても切れない関係
これを「機会」と「リスク」で組みなおすと、結局のところ、機会の中にも社会と環境があり、リスクや迷惑をかけない、つまり社会と環境それぞれにSDGsとCSR、そしてESGのG、ガバナンスが求められているということです。グローバルスタンダードのコーポレートガバナンスとは取締役会が事業の執行や経営が正しくなされているか第3者チェックをすることです。全体を鑑みると、まず「社会環境の役に立つ機会というのがSDGs、リスクがCSR、そしてSDGsとCSRとガバナンスを合わせたものがESGである」ことを社内で説明しました。
これによって、ESGの正しい理解が社内に浸透し、それを土台にして機会とリスクに関する戦略の情報収集が可能となりました。集まった情報をコーポレートサイト上で情報開示してFTSEのスコアを上げることができました。今後はCSRのガイドライン(GRIやSASB)に沿った開示を更に進め、統合報告書を作成することが必要となると思います。
また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に関するレポートや、インパクトマネジメントの評価など、やることは山積みだと思います。先ほどお話しした通り、各社リソースは限られていると思いますので、プライオリティーを決めて順を追って着実に手掛けていくということが必要だと思います。
第3回では、ESG対応では、ESGだけを理解するのではなく、CSRとSDGsの3つの関係性を正しく理解することが必要であり、その上で本質的な「機会」と「リスク」の取り組みが重要であるとお話くださいました。
次回は、 IRの目標設定方法と、キャリア形成についてお伝えします。